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最高裁判所第一小法廷 昭和24年(オ)122号 判決 1952年11月20日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について。

第一点及び第二点 上告人は被上告人に対し、本件建物の所有権移転登記手続請求の訴を提起し、本件建物の処分禁止の仮処分をした。ところが、上告人は右本訴第一審で敗訴(これに対し控訴はした)したので、被上告人は、これを理由として事情変更による仮処分取消の申立をし、第一、二審共にこれを容認した。本件はこの仮処分取消事件の上告である。本件のように仮処分決定があつた後に仮処分申請者がその本案訴訟に敗れた場合においては、裁判所は、必ずしも常に該仮処分決定を取消すことを要し又は得るものではないがその自由裁量によつて本案判決が上級審において取消されるおそれがないと判断するときには、事情の変更があつたものとして仮処分決定を取消すことができるものと解すべきである。それ故に、これに反する論旨は理由がない。

第三点及び第四点 記録によれば、本件第二審判決は、上告人の原審代理人に送達されている。そして、それは本件仮処分取消に関するものである。また仮りに、所論のごとき事由があつたとしてもそれは適法な上告理由とは認め難い。論旨は採ることを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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